園池悠は絶望していた。住み込みで働いていた職場が倒産したのだ。高校卒業とともに上京してまだ3か月。ブラック企業で働き詰めだった悠には土地勘もなければ帰るべき家もなかった。途方に暮れ、公園で一晩過ごそうと腹をくくったその時、酔っぱらいに声をかけられる。端正な顔立ちと逞しい体躯という威圧感のある容姿に反して人懐こい男は、優しく悠に話しかけ自宅へと招いてくれた。翌朝、家主の男より先に目を覚ました悠が礼として朝食を作ると男は大感激。「住み込みの家政婦として働かないか」と悠にとっては願ってもない提案をしてくる。こうして、この男・野宮俊輔の住み込み家政婦となった悠は、俊輔との同居生活の中で様々なことを知っていく。家族、家庭というものを知らない悠にとって俊輔との生活は温かく、幸福そのものだった。家庭とはこういうものなのだろうか、と嬉しく思う悠だったが、どうやら俊輔には悠とは少し違った感情があるようで……。
■2024年2月16日発行 スピカ文庫
東京、新宿二丁目のとあるバー。そのカウンターに座り、K大学に通う大学生・山村朔弥は数ヶ月間の出来事を振り返っていた。初めてできた恋人の言いなりになり、あっという間に捨てられた情けない自分。自暴自棄になった朔弥は、いっそのこと誰かに弄ばれたいと考え一人慣れないウイスキーを呑んでいたのだ。そんな彼に声をかけてきたのは、上品で見目麗しい男・倉掛柾人。なんと彼は会社役員で、朔弥のことをずっと想っていたとか! 疑いつつもその真っすぐで優しい眼差しに惹かれ、一夜の情事だと覚悟して柾人についていった朔弥。しかし、朔弥の想像とは異なり、柾人はただ優しく朔弥を包み込んで『恋人になってほしい』と告げて、溺愛しはじめて――? 溺れるほどの優しさと淫らな激しさが止まらない――! スパダリ会社役員×地味系大学生の一途な濃密ラブ・ロマンス!
アルファポリス第10回BL小説大賞、現代BL賞受賞作!
■単行本 定価1,430円(10%税込) 2023年12月13日発行 アンダルシュノベルズ